
そうこうしているうちに午後3時になり、思い切って“黄金の虎”というプラハでとても有名なビアホールに行ってみることにした。ここは最高のプルゼニュスキー・プラズドロイが飲めるお店で、地元の常連のお客さんでいつもいっぱいのお店だということ。
民族復興運動の時代には、知識人たちのたまり場として重要な役割を演じたのだという。クリントン大統領がハヴェル大統領とともに訪れたことでも有名なのだそうだ。
プラハに詳しい、千野栄一氏が書いた“ビールと古本のプラハ”という本によると、常連の人たちでいつもいっぱいで、曜日によって通ってくる人がある程度決まっていたり、席も決まっているのだという。夜行くと席がないこともあるというので、ガイドブックにのっていた開店時間の午後3時に私たちはいってみることにしたのだ。
お店の前には看板などもなく、ドアも閉まっていて中の様子が全くわからず、とても入りにくい雰囲気。勇気を出してドアを開けてみると、なんと開店時間になったばかりだというのに、地元の人たちでかなりにぎわっており、どうみても今開店したばかりとは思えない。
多分ガイドブックにのっている時間は表向きのもので、地元の人たちにはあまり関係ないのだろう。お店のおじさんたちは愛想も良くなく、クールに席を指し示し、私たちはおそるおそるその席に座った。
隣に座っているおじさんが私達をじろりと見る。メニューはなく私たちがピルスナーを頼むとすぐ、ジョッキにあふれるほどのビールが出てきた。他の人もみんなピルスナーを飲んでいて、とてもじゃないけどビール以外を頼めないようなお店であった。

周りはみんないかにも地元の人といった人たちで、一人でビールを飲んでいたり、議論をして盛り上がっていたりと様々だ。でもみんな常連らしく、新しくお客さんが入ってきたりすると、抱き合って親しそうに挨拶をしたりして、本当にここはプラハの人たちの社交場と言った雰囲気であった。そしてほとんどの人が迷わずに、その人の席と思われるところに落ち着く。やはり席が決まっているのだ!
私たちはおよそその店には似つかわしくなく、しかもお客さんが入ってくるたびに、私たちが座っている席の常連さんだったらどうしよう、などと余計な心配をしてしまい、びくびくしながらビールを飲んでいた。
ビールはやはり他のお店にくらべて文句無くおいしい。緊張するけど、そのお店のルールを破らなければ、お店の人も他のお客さんも私達を邪険に扱うことはなかったので、勇気があれば行ってみる価値はあるお店だと思う。
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音楽とビールのプラハ